抄録
症例の概要:初診時61 歳の女性.義歯不安定による咀嚼困難,および上顎義歯等の審美不良を主訴に来院された.新義歯作製にあたり,動揺度Ⅱ度の孤立歯である下顎右側第3大臼歯( 8 |)と上顎左側第2大臼歯(| 7 )は,抜歯をするとすれ違い咬合となる状態だったが,根面板として保存することで義歯の臼歯部遊離端部の支持として利用した.
考察:補綴装置装着後4年余りが経過しているが,義歯および支台歯のチェックをこまめに行い,必要に応じてリラインを行うことにより,現在も良好な機能を維持している.
結論:遊離端部の現存歯を根面板とすることで歯根膜支持を保存した結果,欠損部の受圧条件が改善され高い満足度を得ることができた.