2016 年 8 巻 3 号 p. 275-280
歯科治療では修復治療が多いのが現状で,そのマージンは歯肉縁下に設定することが多い.そのような状況で周囲組織の角化歯肉の不足や薄い歯肉などの形態学的な問題が存在すると,歯肉退縮が生じることを経験する.このような口腔内環境はプラークコントロールや審美面からも改善されることが望ましい.
またインプラント治療が欠損修復の有効な治療オプションの1つとなって久しくなり,その長期予後も多く報告されるようになってきた.良好な治療結果の永続性を達成するためには,外科治療では歯槽骨,歯肉組織のマネージメント,3次元的な埋入ポジションが重要となる.インプラント体周囲に歯槽骨が存在することが望ましいことに異論はなく,そのため,現在までインプラント周囲の骨増大を図る術式が数多く報告されてきた.また,清掃性や審美性の観点からインプラント周囲に適切な厚みを持つ角化歯肉は必要と考えられる.
今回は天然歯,インプラント修復におけるティッシュマネージメントについて症例をまじえて考察する.