2017 年 9 巻 3 号 p. 218-223
歯の欠損に伴う顎口腔機能の低下は,咀嚼機能を著しく低下させることから,有床義歯補綴治療による機能回復は必要不可欠である.また,その機能回復における適切な治療計画立案のための診断法や治療効果の判定法として,咀嚼機能評価法が必要となる.しかし,各咀嚼機能評価法は,咀嚼の一部分のみを評価しているにすぎないため,さまざまな咀嚼機能評価法を用いて多面的に評価することが望ましい.さらに,咀嚼機能評価法では検出することができない口腔関連QOLや心理的・社会的因子,患者満足度評価を併用することも重要である.今回,咀嚼機能評価法について全部床義歯補綴治療の症例を交えて紹介するとともに,得られた治療効果について報告する.