2017 年 9 巻 4 号 p. 391-394
症例の概要:67歳女性.義歯の新製希望のため2006年5月に来院した.7年間全部床義歯を使用してきたが痛みや動きが収まらず一度も満足したことがないとのこと.下顎義歯は水平的動揺および床後縁の短縮を認めた.さらに義歯の咬合を検査し下顎位の前方偏位が診断された.
考察:本症例では治療用義歯により安定した下顎位を求め,ゴシックアーチ描記法によって顎位変化を評価することで,適正な時期に新義歯製作を行うことができた.このことにより新義歯では適正な下顎位での咀嚼が可能となった.
結論:新義歯装着後の満足度で明らかな改善が認められた.着手のタイミングを決定するためには治療用義歯の使用とゴシックアーチ描記法が有効であった.