日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a7
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一般講演
パイ生地におけるバターの代替としての澱粉の利用
濱西 知子*反町 秀子平尾 和子高橋 節子
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抄録

【目的】近年、食品の低カロリー化を図るために、油脂代替素材として澱粉などの食品素材を用いる試みがなされている。澱粉系の油脂代替素材としては、とうもろこし澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉やそれらの化工澱粉、加水分解物であるデキストリンなどがある。そこで本研究ではパイ生地を取り上げ、バターの代替素材として、小麦澱粉および化工小麦澱粉を用い、パイ生地の物性ならびに食味特性に及ぼす影響について検討した。また、ベーキングパウダー添加の効果、凍結・解凍安定性についても検討した。
【方法】パイ生地は、薄力粉200g、無塩バター100g、水60mlを混合撹拌し、厚さ3mmに圧延後、直径4cmの菊型にて成形し200℃で13分間焼成した。小麦澱粉および化工小麦澱粉はバターの20%を代替とし、この試料については、ベーキングパウダーを添加して、無添加のものと比較した。物性測定は、クリープメーターを用いて破断強度試験を行った。凍結・解凍安定性は、成形後の生地を-20℃で23時間凍結、5℃にて1時間解凍を1サイクルとし、1、3および7サイクル後の生地を焼成し、物性測定を行った。官能評価は評点法により、本学学生ならびに教員の計13名をパネルとして行った。
【結果】焼成直後の破断応力、破断歪率、破断エネルギーはともに化工小麦澱粉添加のパイ生地が最も大きい値を示し、バター100%の生地は小さい値を示した。化工小麦澱粉添加のパイ生地はベーキングパウダーの添加により、破断歪率、破断エネルギーが低下した。官能評価において、化工小麦澱粉添加のパイ生地は最ももろさがないと評価されたが、ベーキングパウダーの添加によりバター100%と同様にもろさがあると評価された。

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© 2004日本調理科学会
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