日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a3
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口頭発表
製パン性におけるレモンフラボノイド添加の影響について(第2報)
*大藪 佳苗三宅 義明平光 正典木村 友子
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抄録

【目的】前報では、レモンフラボノイドを食パンへ添加し、製パン工程におけるフラボノイドの変化や、食パンの物性や官能評価への影響を調べた。レモンフラボノイドを添加することにより、無添加品に比べ、食パンの比容積が増大することを報告した。本研究ではレモンフラボノイドの添加による食パンの膨化性の向上の要因を探求する目的で、材料と生地のpH、生地の物性などに対するレモンフラボノイドの影響を検討した。
【方法】レモンフラボノイドは、レモン果皮の水抽出液を逆相樹脂処理して調製し、エリオシトリンを30%含有する粉末を得た。強力粉、蒸留水、スキムミルク、砂糖、塩、ラードを基本材料とし、レモンフラボノイドを強力粉に0%、0.25%、0.50%、0.75%添加し、パン用ミキサーで混捏して各パン生地を作製した。一次発酵前後の各パン生地を蒸留水で溶解させ、pHを測定した。また、ファリノグラフによりパン生地をつくり、エクステンソグラフにて45分、90分、135分後(30℃)のパン生地の伸長抵抗、伸長度を測定した。
【結果】無添加、および、レモンフラボノイド添加のパン生地はともに一次発酵後にpHの低下が見られた。レモンフラボノイド添加のパン生地は、無添加品と比べて一次発酵前後ともにpHは低値を示し、pHを低下させる作用が見られた。また、エクステンソグラムでは、レモンフラボノイド添加のパン生地は、無添加品に比べ伸長度は小さく、伸長抵抗が大きくなる傾向を示した。レモンフラボノイド添加食パンでは比容積が大きく、テクスチャー値は添加量が増加するにつれて硬さが有意に減少し、凝集性は有意に増加した。製パン性において、レモンフラボノイド添加が有用であることが示唆された。

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