日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a2
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口頭発表
アサイ種子の成分特性と利用性
*村松 美佳岩本 佳代子鈴野 弘子石田 裕
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抄録

[目的]アサイヤシの果実は、赤道直下のべレンやマナウスのようなアマゾン川流域のみで食べられている。果実は黒紫色、直径1_から_2cmで本地域では長年利用され、果実自体に甘さはない。現地では摺りつぶしてキャッサバ粉や魚介類を混ぜ主食として食べる他、「ビーノデアサイ」といわれる、ジュースやアイスクリーム、リキュール、ミンガウ、デザートなどにも利用されている。アサイヤシの果実は、鉄、ビタミンB1、ポリフェノール類が豊富であるという点で注目されている。アサイヤシは果皮も含めた果肉部分が約17%で、その他は種子である。この種子はラン栽培の植え付け材料としても利用されるが、ほとんどはゴミとして捨てられ、食用としては調味料としてごくわずかに使われているにすぎない。現在では、家畜の餌として使用するという研究が行われているが、渋みや苦味が強いため単独での利用は困難である。そこで本研究では、この種子の持つ渋みや苦味を活かし嗜好品としての利用を考え、またポリフェノール類の機能性にも着目し有効な利用法を探ることを目的とした。
[方法]一般成分、ミネラルおよび食物繊維の測定は5訂日本食品標準成分表の試験法に従った。また、ポリフェノール類の測定はフォリンデニス法、抗酸化活性の測定はDPPH法で行った。利用性については、抽出液としての利用を考え、水およびアルコールに対する相性を含め官能評価を行った。
[結果]種子自体の成分は、水分は10%と少なく炭水化物が60%を占めている。また食物繊維は不溶性食物繊維が多く、炭水化物中の90%を占めている。ポリフェノール類はタンニン酸として20%とかなり高い含有を示している。またDPPHラジカル消去能も強く、抗酸化活性が高い。これらの結果から、抽出物の特性を活かすため、アルコールの添加が有効であり、嗜好的にも好まれた。

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