日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a3
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口頭発表
Thymes香気成分の調理加熱時における挙動
*佐藤 幸子数野 千恵子西島 基弘
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抄録

【目的】食材として料理に利用されるハーブは、芳香、辛味、着色の他に、肉や魚などの臭み消しに利用されている。ハーブの香気成分が調理法により、どのような挙動をとるかの検討を行っているが、今回、Thymes(シソ科)をホタテ貝柱の加熱調理に用いて香気成分が、どのように変化するかについて検討した。また、前処理法としてヘッドスペースガス(HS)法および水蒸気蒸留法を比較した。
【方法】試料は、市販のThymesとホタテ貝柱を使用した。加熱調理条件は、1)オーブン加熱(170℃、5分間) 2)電子レンジ(700W、2分間) 3)真空調理とした。分析方法として、HS法では固相抽出(SPME)法を、水蒸気蒸留法は、精油定量器で抽出し、いずれもGC-MSにより香気成分を測定した。
【結果】Thymes(フレッシュ)の香気成分は、オーブン焼、電子レンジの加熱調理により主成分であるγ-Terpinene,p-Cymene,Thymolが減少する傾向を示した。真空調理においては、ほとんど変化が見られず、Thymes のさわやかなレモン様の香りを有した。HS法および水蒸気蒸留法の結果を比較すると、HS法ではγ-Terpineneが最も多く、次いでThymol、p-Cymene順であった。
生ホタテの香気成分はHS法ではほとんど検出されなかった。蒸留法では主香気成分である2,3,5-Trimethylpyradineが検出された。ホタテのみを加熱調理したときに比較し、Thymesを添加した後に加熱すると2,3,5-Trimethylpyradineが減少する傾向が見られたことから、Thymesの香気成分がホタテの臭いを和らげていると推察される。

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