【目的】近年、食品の味を客観的に評価する手法として味覚センサーの利用が検討されており、水、ビールなどの識別が試みられている。一方、KClは食塩代替品としてよく用いられているが、特有の苦味等を有する為、一般食品への利用は限られており、減塩しょうゆについては利用そのものが困難である。本研究では、このようなKClの呈味性を評価する為、減塩しょうゆ上でのNaClおよびKClの味を官能および味覚センサーで評価し、その相関性について検証した。
【方法】市販の減塩しょうゆにNaClおよびKClを添加しサンプルとした。官能評価は順位法を用いて点数化し、その合計点についてKendallの一致性係数による検定を行った。味覚センサーによる評価はαAstree(プライムテック)を用い、得られた出力から主成分分析を用いてサンプルの関係をマッピングした。さらにPLS回帰分析によって官能評価結果との相関性を検証した。
【結果】味覚センサーにより減塩しょうゆにおけるNaClおよびKClの濃度差は識別され、それぞれの成分濃度に方向性が示された。さらに官能評価結果と味覚センサーによる解析結果に相関性が見られ、減塩しょうゆの味質の違いを客観的に評価できる可能性が示唆された。この方法を用いて市販しょうゆに対し評価を実施した結果、官能評価を支持する味覚センサーの解析結果が得られた。