日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-p2
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口頭発表
黒砂糖の調理性の白砂糖との比較研究
-味の浸透とテクスチャー-
*大倉 洋代大久保 真衣黒川 理加喜多 記子長尾 慶子
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抄録

〔目的〕特有の風味と健康機能面から黒砂糖調理の有用性が注目されている。本研究では演者の大倉が鹿児島喜界島産サトウキビから手作りした黒砂糖を試料として、調製法の異なる煮物を調製し、食品中への味の浸透状況と物理的性質を白砂糖と比較検討した。
〔方法〕3_cm_角にした男爵イモを、a.10%の黒砂糖液および上白糖液中にて定時間煮熟、b.イモを沸騰水中で9分加熱後に黒砂糖および上白糖を添加し定時間煮熟、の2通りの方法で加熱し、破断特性、煮汁のpH、および加熱終了後の煮崩れ量を測定した。また同試料に蒸留水を加えホモジナイズし、5000rpm、15分間遠心分離した上澄み液の糖量を、ソモギ_-_法により測定し、加熱中のイモに浸透した糖量とした。さらに加熱時間の異なる煮熟イモ4試料を用いて、評点法による官能検査を行った。
〔結果〕破断試験での硬さは、a法での黒砂糖の煮物が若干硬くなった。イモに浸透した糖量は、a法での白砂糖は加熱により増加し、黒砂糖は25分煮熟まで増加し、その後は一定となった。b法では糖の種類による有意な差は見られなかった。pHは黒砂糖では加熱後低下し、白砂糖は上昇した。煮崩れ量では、a・b法とも白砂糖使用時に多く、黒砂糖使用時と比較し5%の有意差が見られた。この原因として黒砂糖に含まれるミネラル類の影響が示唆された。a法による試料での官能検査の結果、色の項目で黒砂糖、白砂糖間で有意差が見られ、香りでは20分加熱の両試料間に有意な差を認めたが、甘さ、硬さの項目では有意差はなく、総合評価においても好ましさに有意差が認められなかった。以上より、黒砂糖の独特な風味は、煮物において一般に受け入れられていると考えられた。

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© 2006日本調理科学会
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