日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-p3
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口頭発表
抹茶の粒度および濃度が起泡性に及ぼす影響
池田 博子*園田 純子沢村 信一
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キーワード: 抹茶, 粒度, 濃度, 起泡性
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抄録

「目的」 抹茶は、茶浸出液と異なり攪拌により安定した泡を形成する。これは抹茶の粉体が泡沫形成に関与するためで、粉体の骨格を形成する繊維の形状や大きさによって泡立ちは大きく異なるといわれている。すでに、演者は粒度の異なる抹茶の起泡試験を行い、粒度の小さいものほど泡立ちが良いことを確認した。粒度の違いが起泡性に及ぼす影響は抹茶濃度によっても異なるのではないかと考え、抹茶濃度を変化させて、粒度と濃度が起泡性に及ぼす影響を検討した。
「方法」 試料は(株)伊藤園製飲用抹茶を分級し、微粉抹茶(メディアン径6.84μm)および粗粉抹茶(メディアン径21.56μm)とした。対照として粉体の入らない碾茶の浸出液を使用した。抹茶碗に茶および湯(または浸出液)50mlを入れ起泡装置を用いて泡立て、90秒後と10分後の泡沫容積を測定し、泡膜液容積、起泡度および安定度を求めた。起泡条件は湯温度80℃、撹拌速度400回/分、撹拌時間30秒、茶濃度0.5、0.75、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5%とした。
「結果」 微粉は泡立ちがよく、粗粉や浸出液に比べ泡膜液容積の増加が著しかった。浸出液は濃度依存的に泡膜液容積の増加が見られた。微粉は一定濃度を超えると泡立ちが緩慢になり、粗粉は平衡になった。いずれの茶も泡の状態は濃度が高くなるに従い細かくなった。泡が細分化され、起泡度が低下するにもかかわらず、微粉、粗粉では2%を超えると安定度が増加に転じ、特に微粉で顕著であった。以上のことから、粉体は泡沫の形成に関与し、粉体の大きさ(粒度)が抹茶の起泡や安定化に影響することが示唆された。

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© 2006日本調理科学会
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