日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-p4
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口頭発表
亜麻仁を用いた食パンの品質
*筒井 京子續 順子
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抄録

[目的]n-3系脂肪酸の摂取比率を増加するため、n-3系脂肪酸の豊富な亜麻仁を出発材料として食パンの調製を試みた。油脂を亜麻仁油で置換して調製した食パンと亜麻仁粉末を強力粉と置換した食パンについて、それぞれの品質を検討した。
[方法]強力粉、砂糖、スキムミルク、食塩、ドライイースト、水、油脂を捏ね機(大正電機製)で混捏し、直捏法により食パンを調製した。油脂の50%、100%を亜麻仁油で置換した食パンと強力粉の5%、10%、15%、20%をそれぞれ亜麻仁粉末に置換した食パンを調製し、それぞれ脂質量(CM改良抽出法)、脂肪酸量(メチルエステル化法)、酸化度(POV、COV)、体積(菜種置換法)、色調、物性を測定し、併せて官能評価(順位法)により品質を調査した。
[結果]1.亜麻仁油を用いた食パンの品質:亜麻仁油を100%使用した食パンは、対照のバターを用いて焼成した食パンと比較すると、比容積が有意に小さく密度が高くなった。物性は硬さとガム性が有意に小さく軟らかいものになった。色調はb値が高く、黄色味が強くなった。官能評価では硬さ、舌触り、風味、後味で有意に好まれなかった。n-6/n-3は対照の7.5に比べ0.45と大きく低下した。POV、COVは焼成後5日を経ても0.7meq/kg、10meq/kgと変化はなかった。
2.亜麻仁粉末を用いた食パンの品質:亜麻仁粉末置換食パンの物性は、置換割合20%で硬さとガム性が有意に高く硬くなった。色調は置換割合が高いほどL値が低下してa値、b値が高くなり、茶色味が強くなった。官能評価では置換割合が10%の食パンが香り、後味、総合評価で有意に好まれた。10%置換食パンのn-6/n-3は0.48と低かった。POV、COVも低値であった。10%置換食パンと亜麻仁油を使用した食パンの官能評価では、前者が好まれる傾向にあった。

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