日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-7
会議情報

ポスター発表
加熱処理グリアジン添加による製パン性の改善
*長澤 幸一濱田 悟旨武田 寛石川 千春
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

<目的> 我々はこれまでにメイラード反応によりグリアジンに糖を修飾させたグリアジン-糖複合体を創製してきた。修飾糖としてはグルコース、マルトース、ラクトースを用い、いずれの修飾糖においてもグリアジンの溶解性、起泡性が向上し、これらの添加により優れた製パン性向上効果が認められた。その製パン性の向上においては、糖の修飾の影響および加熱によるグリアジンの微細な構造の変化が関与するものと考え、グリアジンのみを加熱処理したサンプルの添加による製パン性の改変について検討することを目的とした。
<方法> グリアジン3.75から8.75gを蒸留水に分散し、60から120℃にて加熱処理を行った。グリアジン加熱処理物は製パン材料に供し、焼成は日立ホームベーカリーHB-3で行った。焼成後のパンについては官能検査、物性測定(山電 TPU-2)により評価した。
<結果>60から80℃のグリアジン加熱処理物の添加により未処理グリアジンよりも優れた製パン性向上効果が認められた。高温で処理した場合は製パン性の向上は認められなかったため、加熱によるグリアジンの変性を抑制した条件で処理することで製パン性向上効果がもたらされると考えられた。小麦粉の種類では強力粉にグリアジン加熱処理物を添加した場合は製パン性向上が認められたが、国産小麦のホクシンあるいは米粉を含む条件では製パン性が劣る結果となった。

著者関連情報
© 2006日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top