日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-8
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ポスター発表
近赤外分光法によるデンプンの老化の測定
*福本 由希斉藤 まゆ美大森 正司飯渕 貞明
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キーワード: デンプン, 老化, 近赤外
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抄録

デンプンの糊化,老化の過程を以下のような数式モデルで表現することについては2004年度の本学会で報告した.
糊化:β=β0{ 1/(1+k1/ k2) +[1-1/(1+k1/ k2)]exp[-k2 (1+k1/ k2)t]}
老化:β=α0{ 1-exp[-k2 (1+k1/k2)t]}/ (1+k1/ k2)
βは時刻tにおけるβデンプンの存在量.β0,α0は糊化と老化のt=0において糊化,老化可能なβデンプン,αデンプンの存在量.k1,k2は糊化,老化の速度定数である.kjをアレニウス型として,活性化エネルギー,頻度因子を適当に仮定すれば,さまざまな温度におけるβデンプンの減少(糊化)と増加(老化)をシミュレートできる.2%バレイショデンプンを115℃で20分間加熱してα化させ,1-50℃に保存し,350_から_1100nmのスペクトル測定を経時的に行い,965nmにおける2次微分値を時間に対してプロットすると老化のシミュレートと同じ形の曲線が得られた.965nmは水の吸収波長であるので,この変化が老化に伴う水分子の近赤外吸収の変化を反映しているものと推定できる.ついで,糊化したデンプン含有食品(無菌米飯,もち,食パン,ゆでうどん,干しそば,干しうどん)を4℃に保ち,同様の結果が得えられるかどうかを検討したところ,2%バレイショデンプンで得られた結果とほぼ同様の曲線が得られた.この曲線から老化速度定数k2とα0を推定した.試料数が少ないため即断はできないが,4℃におけるデンプン含有食品の老化速度定数k2は食品の種類によらずほぼ一定であり,老化可能なαデンプンの初期濃度α0は食品によって異なるものと示唆された.

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© 2006日本調理科学会
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