日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a6
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口頭発表
シュー生地の物性及び膨化に及ぼす糖の影響
*加登 博文
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抄録

シュークリームの皮(パフ)は生地を一度糊化させ、焼成して得られる。しかし、パフを大きく膨らませ、中を空洞化にするのは難しく、その調製には熟練を要する。これまで、パフの膨化要因として、生地の均一分散、含気量など報告されてきたが、生地中のデンプン糊化との関連は不十分であった。
【目的】本研究では、糖が一般にデンプン糊化に影響を及ぼすことから、シュー生地の物性及び膨化に及ぼす各種糖添加の影響について比較検討した。
【方法】本実験に供した糖は二糖類以上で、マルトース,トレハオース,ラクトース,MC55(マルトース混合品)を生地中に対粉1から4%添加した。シュー生地の物性テストでは、卵の影響を除いた生地(未加熱)のDSC加熱による吸熱量と生地粘度を測定し、生地中のデンプン糊化の状態について検鏡観察した。また、膨化テストでは、実際に卵を使用したシュー生地(大玉)をオーブンで焼成して、パフの大きさとボリュームを測定した。
【結果】1.糖の中でマルトース添加では生地吸熱量と生地粘度が最も低く、検鏡により生地中のデンプンの膨潤糊化を顕著に抑制していることが判明した。
2.マルトース,MC55添加によりパフの大きさ(特に縦伸び)とボリュームが有意に大きくなる効果を示した。
以上の結果より、糖添加によるシュー生地の糊化抑制は、マルトース>MC55≫トレハオース≒ラクトースの順に大きく、パフの膨化増大に影響を及ぼすことが判明した。

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