日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-9
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ポスター発表
若年者および高齢者の食肉に対する咀嚼機能の比較
*金 娟廷伊藤 美樹品川 弘子冨吉 靖子高橋 智子大越 ひろ
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抄録

[目的]食肉は良質なたんぱく質の供給源でありながら線維が多く、硬くて咀嚼しにくいため高齢者にとって食べにくい食材である。そこで本研究は咀嚼能力が低下した高齢者にとって食べ易い食肉加工品の開発のため、豚ロース肉を用いて、若年者・高齢者をパネルとした咀嚼運動における嚥下開始までの咀嚼試験を行った。
[方法]豚肉ロース芯部位を用い、脂肪を除き、ミンチした後、マッシュポテト(17%)とデンプン(3%)置換した試料肉MSと、脂肪を除いた豚ロース肉を0.4 mol/lで重曹処理した試料肉Ctと重曹処理後、400 MPaで高圧処理した試料肉Ptの3種類の試料肉を調製した。若年者・高齢者をパネルとした咀嚼時から嚥下開始までの咀嚼回数および咀嚼時間、また、嚥下開始直前の食塊のテクスチャー、食塊の唾液分泌率(%)を検討した。
[結果]試料肉のテクスチャー特性の硬さは、重曹処理および高圧処理した試料肉CtおよびPtに比べ、ミンチ状の試料肉MSが最も軟らかかった。そこで、咀嚼試験を行ったところ、若年者・高齢者のいずれについても、試料肉CtおよびPtは、ミンチ状の試料肉MSに比べ、咀嚼回数が最も多く、咀嚼時間は長かった。また、どの試料肉でも若年者に比べ高齢者は、咀嚼回数が多く、咀嚼時間は長く、逆に、唾液分泌率は、高齢者の方が少なかった。食塊の硬さと咀嚼回数の関係をみると、試料肉MSは若年者に比べ、高齢者の方が咀嚼回数は多く、食塊も軟らかかったが、試料肉CtおよびPtは若年者比べ、高齢者の方が咀嚼回数は多く、食塊はかたくなっていた。

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© 2006日本調理科学会
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