日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-14
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ポスター発表
マアジ塩漬肉の乾燥時における特性とトランスグルタミナーゼ製剤の添加効果
*田中 晴生柿澤 有紀糸永 麻未大迫 一史長富 潔原 研治
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抄録

【目的】トランスグルタミナーゼ(以下TGase)は蛋白分子間または分子内のポリペプチド鎖中のグルタミン残基とリジン残基を架橋する性質を有し、この特性を利用した酵素製剤が各種蛋白食品に実使用されている。昨年の本大会においてマアジ背肉の塩漬処理時におけるTGase製剤の添加効果について報告したが、今回は塩漬肉を乾燥処理したときの諸特性について各種の検討を行った。
【方法】マアジ新鮮肉をフィレー状にして、2M NaCl (pH 7.0)溶液中で4℃にて塩漬処理を行った。TGase製剤は、「アクティハ゛」TG-S(100u/g、味の素(株)製)を塩漬時にのみ添加した。塩漬後6時間の試料を30℃において最長24時間冷風乾燥し下記の各種特性を比較検討した。
【結果】塩漬後の魚肉内層の食塩濃度は外側のそれの60%程度に留まった。乾燥処理肉の水分低下度合いはTGase製剤添加区は明らかに対照より遅かった。また試料を8M尿素-2%SDS-2%メルカフ゜トエタノール混液に溶解後SDS-PAGEに供したところ、乾燥時は対照、TGase製剤添加区ともミオシン重鎖(MHC)が見かけ上減少するが、TGase添加区はさらに多くのMHC多量体の生成を認めた。Mf-Ca-ATPase活性は塩漬・乾燥処理時を問わず時間経過とともに低下するが、塩漬時には対照、TGase添加区間に差は認められないものの、乾燥時にはTGase製剤添加区の方が活性低下の度合いが小さかった。これらの結果よりTGaseは魚肉外側の溶出蛋白に優先的に架橋し、その結果、処理中における内層部分のMf蛋白変性を間接的に抑制すると推定した。

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