日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-16
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ポスター発表
戻しするめの利用に関する研究
*久木野 睦子
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キーワード: スルメ, 戻し, 物性
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抄録

目的)乾物の利用法が多岐にわたる中国料理においては、かん水を用いて戻し処理したスルメがイカの代用品として利用されている。戻し処理したスルメは生鮮イカとは異なる物性を持つことが報告されているが、本研究では、異なる種類のスルメについて、戻し処理後のスルメの加熱料理への利用法について検討した。
方法)市販の剣先スルメ、松白スルメおよび中国にて購入したスルメを予め水浸漬した後、pH11のアルカリ液中に浸漬し、さらにアルカリ臭を抜くために水浸漬して戻し処理を行った。この戻し処理にともなう重量、厚さの変化および物性の変化を調べ光顕観察を行った。また、戻したスルメをゆで加熱し、加熱にともなう変化を同様に調べた。さらに、官能検査を行い、料理への利用法について検討した。
結果)戻し処理にともなう各スルメの重量変化は中国のスルメにおいて膨潤度が小さく、レオメーターによる物性測定では破断エネルギーが大きかった。戻したスルメの外観は、松白スルメや中国スルメではうす茶色の透明感のある外観となったが、剣先スルメは生鮮イカのような真っ白の外観になった。これらをゆで加熱し、官能検査をしたところ、生鮮イカを調理したものより軟らかいと評価されたが、味の点では好まれなかった。アルカリ浸漬時間およびその前後の水浸漬時間が長いほどスルメは軟らかく戻るが、調理後の嗜好性を考慮するとアルカリ浸漬時間はそれほど長くは必要ないと考えられた。中国における戻しスルメの利用実態についても調査中である。

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