日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-24
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ポスター発表
加熱原理の異なる器機を用いた焼成豚肉の性状と利便性の比較
*今井 悦子河野 彩子塚本 香織渋川 祥子
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キーワード: 加熱, 豚肉, 加熱機器, 焼き色
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抄録

[目的] 加熱原理の異なる様々な調理機器がある。その違いが加熱後の食物の性状に及ぼす影響および利便性を,豚肉の場合について検討した。
[方法] 材料は豚内もも肉とし,3×5×1cmに切断したものを5枚用いた。加熱条件はスチームコンベクションオーブン(以下スチコン)およびコンベクションオーブン(以下オーブン)(両者130,180,250℃,予熱有),ガス(フライパン使用,弱火1,中火2,強火4L/min,予熱有;表面温度180℃),電子レンジ(500,700W)とした。各条件で最低温度部位75℃まで豚肉を加熱し,歩留まりおよび焼き色の測定と破断試験を行った。
[結果] スチコン,ガスおよび電子レンジの75℃到達時間は,加熱条件間で有意差がなく,それぞれ167,248および85秒であった。オーブンは他の機種と異なり最低温度部位が上部表面であり,75℃到達時間は1,363(130℃),678(180℃),280(250℃)秒であった。歩留まりは61-80%の範囲にあり,スチコンが大きい傾向があったが,全11の試料間で有意な差はなかった。破断試験では単調増加な曲線が得られたので,破断歪み40および80%の点の応力を求めたところ,両者ともに全11の試料間で有意差がなかった。焼き色は,色の濃い部分が多い順にガス,オーブン,電子レンジ,スチコンであった。算出した消費エネルギーは,スチコン約1,200-2,000,オーブン500-570,ガス170-260,電子レンジ14および22kcalであった。以上より,加熱時間と消費エネルギーの観点からは電子レンジが圧倒的に優位であったが,焼きむらが激しく実用的でないこと,加熱時間からはスチコン,消費エネルギーと焼き色の観点からはガスが好ましいと考えられた。

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© 2006日本調理科学会
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