日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-38
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ポスター発表
山形庄内地方の郷土料理
*河野 篤子米田 泰子
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抄録

[目的]近年、惣菜の購入や、外食機会の増加によって、各家庭で調理の機会が減少し、地域の特色ある郷土料理が日常の食卓から姿を消しつつある。そこで、関西と共通点の多い山形県庄内地方において、現在の郷土料理の実施状況を把握し、併せて関西との共通点を確認する目的で調査をおこなった。
[方法]2004年7月に、山形県庄内地方に在住で家庭の調理担当者136名を対象とし、アンケートを実施した。
[結果]対象者は40歳代で、三世代世帯が最も多く、約9割が庄内地方の出身者で30年以上居住していた。郷土料理とされている中から主な45種類を選択し、知名度、現在の作成率平均を算出すると、それぞれ84.0%、41.3%と、料理名を知っていても作る機会が減少していると言える。料理を飯・麺、もち類、漬物類、副食、汁に分けて比較すると、飯・麺の「むきそば」「なまそば」、漬物類等の作成率は低く、またもち類については知名度、作成率ともに低かった。副食では「いわしのぬた」、「子寄せ寒天」等の作成率が低かった。いずれも手間がかかるためであろう。以上の結果を年齢別に比較すると、同様の傾向がみられたが、特に若い世代では、副食のうち酢の物、和え物の作成率の減少が著しく、嗜好に変化がみられた。
行事食として、一般に「雑煮」には丸もちが使われたり、「棒だらと大根の煮物」、「飯ずし」(飯に麹を混ぜて発酵させ、数の子、大豆などを加える)等には使用する食材や料理法で関西との共通点がみられた。今回の調査では、もちの形態は質問しなかったが、「雑煮」は94%、「棒だらと大根の煮物」は54%の家庭で作られていたが、「飯ずし」に関しては手間がかかるためか、作成する家庭はみられなかった。

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