日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a6
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口頭発表
根菜類の食べやすい調理法の工夫
*高橋 智子川野 亜紀大越 ひろ
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抄録

[目的]高齢者は根菜類の和風煮物等を好む傾向にある。しかし、根菜類は繊維が多いために咀嚼機能が低下した高齢者には食べにくい食材となる。そこで、本研究では、高齢者には好まれる一方、咀嚼しにくい根菜であるごぼうについて、咀嚼しやすく、食べやすくする調理法を検討した。
[方法] 青森産のごぼうを試料とし皮を除去後、部位、太さを考慮して、同体積になるよう長さ1.5cmの円柱状に切断した円柱切り、および長さ3cmの円柱を斜めに1/2に切断した斜め切りにした。同体積で形状の異なる2種類のごぼうを、同一レトルトパウチ袋中に同量の水とともに封入し、121℃15分および45分間の加圧加熱を行った。これらの試料について、テクスチャー特性、破断特性の測定、食べやすさの官能評価、および下顎の咀嚼運動について検討した。
[結果]テクスチャー特性および破断特性の結果から、加熱時間が長い試料ほど軟らかくなった。また、ごぼうの繊維に対するプランジャーの貫入方向により、得られる硬さは異なることが示された。すなわち、繊維方向に対し垂直にプランジャーを貫入させた場合、繊維に対し斜め方向から貫入させた場合よりも、硬く、また繊維を断ち切る際に出現すると考えられる変曲点も多いことが示された。下顎の咀嚼運動測定結果より、臼歯により繊維方向に垂直に咀嚼するよりも、斜め方向に咀嚼する方が最大閉口速度は速くなる傾向を示した。また、咀嚼する際にかたいと評価された試料は最大閉口速度も遅いことが示され、咀嚼しやすいごぼうの調理には繊維に対する切断方向が重要であることが示唆された。

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