日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a2
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口頭発表
ハタハタの脂質酸化と脂肪酸組成の変化
*松本 祥子鈴木 美沙子黒澤 智子塚本 研一
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抄録

「目的」 最近、魚脂中に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸は食品機能性からも摂取が奨められているが酸化されやすい特徴もあることから、今回はハタハタと対照の青みの魚(ゴマサバ)の魚脂を用いて経時的に酸化の程度や脂肪酸組成の変化について調べ、酸化要因を解明をすることを目的として研究したので報告する。
「試料及び方法」試料はハタハタを用い、対照としてゴマサバを用いた。脂質抽出をクロロホルム:メタノール(2:1 v/v)で行い、フォルチ法で洗浄し、減圧濃縮後、脂質を抽出した。その試料を37℃の恒温槽で保存をした。その保存中の魚脂の経時的変化、イソオクタン法で過酸化物価を測定し、更に、試料をケン化後メチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー(GLC)で脂肪酸組成を分析した。
「研究結果」1)ハタハタ脂質含有量では兵庫県産は秋田県産に比べて1.4-2.7倍多く,秋田県産の雄は雌の2倍多かった。2)37℃5週間保存中の脂質酸化の程度と過酸化物価の経時的変化ではゴマサバの脂質酸化は著しかったがハタハタ脂質はほとんど酸化されず安定していた。3)脂肪酸組成の経時的変化ではハタハタ脂質の多価不飽和脂肪酸は5週間保存した後でも4割維持したがゴマサバの脂質は3週間後に約1/5、4週間後に約1/12に減少した。本研究から魚肉脂質の酸化は魚種によって違いがあることが明らかになった。特に、ハタハタ脂質の酸化安定性が著しく高いことから特産のハタハタを食することによって秋田県の脳血管疾患などの改善につながる可能性が示唆された。

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© 2006日本調理科学会
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