日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a3
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口頭発表
調理における鰹だしの抗酸化効果
*梨本 亜希稲森 美奈子高木 三姿郎松田 秀喜
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抄録

【目的】食品の調理加工において、抗酸化能のある調味料を使用することで酸化臭の発生や品質劣化の原因の一つである脂質酸化を抑制する効果が得られるとの報告がされている。一方、鰹だしは日本の伝統的なベース調味料として、呈味や風味という面から幅広く使われている。近年ではおいしさだけでなく、抗酸化性についても注目されているが、調理上の効果に対する報告例は無い。そこで、本研究では調理における鰹だしの脂質酸化への影響について検討を行った。
【方法】鰹だしは市販の鰹節厚削りを常法にて熱水抽出し調製した。試料とする食材として、不飽和脂肪酸の多いマイワシを選択し、頭、内臓を除去した後、加熱調理を行った。比較対照は水で調理したものを用いた。調味液の抗酸化能は調理前後の調味液のDPPHラジカル消去活性を測定した。試料の脂質酸化生成物は魚肉をホモジネートしTBA値を測定した。試料の評価は三点比較法を用いた官能検査にて行い、生臭みを評価基準とした。
【結果】鰹だしを使用した調味液のDPPHラジカル消去活性は調理前、調理後の液は共に活性を示し、抗酸化能が確認された。鰹だしを使用した試料のTBA値はより低い値を示し、脂質酸化生成物の抑制効果が確認された。また、官能評価により鰹だしを添加したサンプルは有意に識別され、生臭みの減少が確認された。
本実験での分析および官能評価の結果から、鰹だしを調理に用いることにより、脂質酸化生成物の抑制効果及び生臭みの抑制効果が認められた。このことから、調理において鰹だしが有効な抗酸化効果を発揮していることが示唆された。

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© 2006日本調理科学会
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