日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a7
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口頭発表
福井県の伝統食「へしこ」の成分分析と食味評価
*坂口 絵美佐藤 真実谷 洋子
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抄録

【目的】福井県の特産品であり、伝統食である「へしこ」は、魚の糠漬けのことをいう。私たちの調査では県内でのへしこの認知度は84%と高く、年代にかかわらず65%の人が好んでおり、サバとイワシのへしこがよく食べられていることがわかっている。本研究においては、県内で販売される製造の異なる7種類のサバのへしこを用いて官能検査を行うとともに、へしことその糠の成分分析を行い、おいしいサバのへしこについて検討した。
【方法】官能検査は、本学学生26名を対象にし、色、かたさ、旨み、におい、塩加減、総合評価の7項目において5段階評点法にて行った。色は、色差計(日本電色工業株式会社:NR-300)を用い、L値、a値、
b値を測定した。成分分析は、へしこの魚肉と糠について、pH、食塩、水分、灰分、脂質、ミネラル(富士ドライケム3500)の測定を行った。
【結果】官能検査の結果、総合評価の高いへしこは、塩加減が最も薄く、やわらかく、独特のにおいが強くないものであった。また、色差がL値、b値で低く、成分分析では、リン(P)、マグネシウム(Mg)が、他よりやや高く、灰分、塩分が低い傾向にあった。特に生サバと比較した場合、Pは総合評価の高いへしこで増加するが、低いへしこで減少傾向が見られた。Mgはすべてのへしこで増加するが、総合評価が高いほど増加率が大きい傾向が見られた。以上の結果より、おいしいへしこは、塩加減が薄く、やわらかく、色差において明度が低く、黄の色相が弱く、成分分析においては、P、Mgがやや多く含まれるものであった。

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