日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a8
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口頭発表
香酸カンキツ果実「新姫」フラボノイドの調理、食品加工における溶出性について
*三宅 義明高木 真美子韓 順子
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抄録

(目的)三重県紀南地域で栽培されているカンキツ果実の新姫(にいひめ)は、日本タチバナとマンダリンの交配種であり、香りや酸味が高い香酸カンキツ果実である。カンキツ果実には抗酸化性や抗腫瘍性が報告されている機能性成分のフラボノイドが含まれ、健康機能作用が注目されている。本研究では、新姫果実に含まれるフラボノイドに着目し、他の香酸カンキツ果実との比較から特徴を調べ、さらに、調理や食品加工における溶出性を調べた。
(方法)三重県熊野産の新姫や、ユズ、スダチ、カボスなどの香酸カンキツ果実を分譲や市販購入により入手した。果実を果皮と果汁に分け、果皮を75%エタノールにて抽出した。果汁と果皮抽出液中のフラボノイドをHPLCにて定量した。果皮抽出液の抗酸化活性は、DPPHラジカル捕捉法により測定した。また、新姫果実を半分に切断し、低温(4℃)または高温(90℃)の水、5%エタノール、25%エタノール溶液に浸漬し、溶出液を経時的にサンプリングした。溶出液に含まれるフラボノイドをHPLCにて定量した。さらに、新姫など香酸カンキツ果実を用いたジャムやダイコン浅漬けを作製し、ジャムはエタノール抽出し、浅漬けは液部分について、フラボノイド量や抗酸化活性を測定した。
(結果)新姫果実の果汁、果皮には、フラバノン配糖体のエリオシトリンやヘスペリジン、ポリメトキシフラボンのノビレチン、タンジェレチンが含まれている点が特徴であった。新姫果実のフラボノイドは、低温溶液より高温溶液で溶出されやすかった。ポリメトキシフラボンは、高温25%エタノール溶液が最も溶出されやすかった。新姫のダイコン浅漬けやジャムは、ユズ作製品と比べて抗酸化活性が高く、これは新姫果実のフラボノイドが抗酸化活性に関与していると推測された。

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