日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a1
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口頭発表
日本近代の共同炊事場に関しての一考察
愛知県と埼玉県との共同炊事場の比較から
馬場 景子中野 典子*宇野 良子
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抄録

〔目的と背景〕日本の近代化は富国強兵と殖産興業が二本柱となって推進された。特に、殖産興業を謳うことで、日本国内には軽工業が発展していった。その側面として軽工業に従事する工場労働者の食が見直されてのも近代に入ってからである。また栄養の概念が本格的に論じ始められたのもこの時期であった。本発表では、栄養の概念が普及するのに重要な役割を果たした共同炊事場の存在を愛知県と埼玉県での調査から明確にする。
〔方法〕資料、現地調査、聞き取り
〔結果〕栄養食の概念は、昭和初期に埼玉県川口市の栄養食配給所をセンターとして普及していったとされているが、共同炊事場はそれよりも以前に愛知県一宮市(旧 尾西市)が最初に組織化され、実働したことを明らかにした。さらに埼玉県川越市の文化財となっている産業遺産である栄養食配給所の調査から、昭和初期の共同炊事場内の様子が判明した。以上のことから、共同炊事場が、日本の近代化を支えた労働者の食を栄養という科学的な概念を取り入れながら、普及させた側面を捉えることが可能になった。

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