日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a2
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口頭発表
子供の食生活改善の試み 
-野菜嫌いの実態調査-
*安藤 真美鹿子島 温子神田 知子五島 淑子
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抄録

【目的】子供の偏食のひとつである野菜嫌いは,改善が難しい課題であるが,成長や健康のためには解決が不可避である。そこで,山口県の児童を対象に野菜の好き嫌いに関する実態を調べ,地域差や保護者の好き嫌いとの関連を併せて解析し,その実態を把握すると共に児童の食生活改善の試みについて検討した。
【方法】2004年12月から2005年2月にかけて,山口県内の小学校の協力を受けて質問紙調査法により調査を実施した。対象地域および調査対象者は,山口市およびその周辺の小学校児童と保護者(各350人)とし,市街部・山間部・沿岸部に分けて解析した。調査内容は,山口県内で生産量が多い野菜について,児童へは好き嫌い・栽培経験・調理経験の有無など,保護者へはそれらに加えてよく使う野菜や調理の工夫などとした。
【結果】1.野菜の好き嫌いの傾向は,児童・保護者ともに地域差は小さかった。2.保護者の好き嫌いが子供の好き嫌いに与える影響は小さいと考えられた。3.児童が野菜を嫌う理由で最も多い回答は「味」で,次いで「香り」「色」の順であった。これらの要因は素材のもつ特徴であり,変えられないため,調理方法による工夫が重要であると考えられた。4.保護者が行っている具体的な調理方法の工夫は,「細かく切る」「よく火を通す」「味付け」などが多かった。5.調査の結果において最も子供に嫌われたナスを用いて新しい調理方法を試みたところ,野菜嫌いの改善の可能性が示唆された。
以上の結果より,児童の野菜嫌い克服への対策として,嫌われる傾向にあるそれぞれの野菜について,子供に好まれる新しい調理方法の工夫が有効であると思われた。

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© 2006日本調理科学会
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