日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a3
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口頭発表
小学生の果物の嗜好におよぼす調理技能の影響
*津田 和加子
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キーワード: 小学生, 調理技能, 嗜好, 果物
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抄録

【目的】生鮮果物の将来的な消費量の低下が懸念されている。果物離れの要因の一つに「果物の皮をむくのが面倒」という意識があげられていが、若年層においては調理技能の修得が果物の摂取に影響すると考えられる。そこで、果物の産地の一つである福島市において小学生の調理技能(ナイフを使って果物の皮がむける)の有無が果物の嗜好に影響しているか調査することを目的とした。
【研究方法】福島市内の公立小学校5年生137名6年生144名、合計281名を対象とし、2005年12月から2006年1月に調査を実施した。自記式調査用紙を全員に配布し、その場で記入後回収した。調査項目は、福島およびその近郊で収穫される果物(さくらんぼ、梨、ぶどう、桃、洋ナシ、りんご)の嗜好と「果物の皮をむくことができるか」に関するものである。統計処理にはExcel統計を使用した。
【結果】小学校5年生では、調理技能に男女差はなく、約50%の児童が果物の皮をむくことが「できる」と答えた。一方6年生になると男子にあまり変化は見られないが、女子の89%が「できる」と答えている。皮をむくことが「できる」「できない」に関わらず男子では「ぶどう」に、女子では「さくらんぼ」に対する嗜好が高く、男女に差が見られた。皮をむくことが「できる」男子では「洋ナシ」が、女子では「桃」の嗜好が高かった。一方「できない」と答えた児童では男女とも「梨」や「りんご」の嗜好が高かった。日頃、家庭において果物の皮をむくのは「母親」であると、ほとんどの児童が答えていることから、嗜好と調理技能の関係は顕著に表れなかった。しかし「桃」や「洋ナシ」といった実が柔らかく皮をむきにくい果物に関しては、調理技能の有無が嗜好に影響していると推察できる。

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© 2006日本調理科学会
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