【目的】成長期における食習慣は、その後のライフスタイルに与える影響が大きい。平成17年6月に食育基本法が成立し、食の大切さを学習することを提唱しているが、小学生のうちは食の学習を素直に受け入れるものの、中学生になると理解していても実践しない割合が高くなる傾向があることを報告した1)。本研究では、中学生における食生活上の問題点を明らかにすることを目的とした。
【方法】Y市内中学校2校の中学2年生とその保護者各309名に対し、質問紙法による調査を行なった。質問紙は無記名とし、実施時期は平成17年9月、内容は中学生には食意識の実態と食事中の会話について、保護者には、家庭の食事環境、食習慣の実態、郷土の食材に対する意識と利用度、さらに中学生・保護者それぞれに食育に対する意識調査を試みた。
【結果】中学生の調査結果では、食事の時間は楽しいという解答が多かった(90%)が、一方楽しくないと答えた理由を家族形態別に見た結果、嫌いな物でも全部たべなくてはならない(p<0.01)、おかずが少ない(p<0.05)ということが挙げられた。保護者の調査結果からは母親の80.9%がなんらかの形で就業し時間的にも余裕がないと考えられるが、食事は手作りを心がけている割合が96.2%という状況であった。また、地元食材についての認知度も高く、伝統的な料理が受け継がれる素地はあるものの、利用頻度としては手間暇のかかる食材は敬遠される傾向が見られた。食育に関する意識調査で、身につけたいと思っていることは中学生は料理技術、保護者は食事作法という回答が多く世代間で差が見られた。
1)日本調理科学会 平成17年度大会研究発表要旨集 p20