日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-a1
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口頭発表
揚げ油の性状と揚げ種への吸油量
*大野 佳美川田 かおり中里 やちほ米谷 友里内山 綾子
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抄録

【目的】揚げもの調理における揚げ種への吸油量の把握は,揚げ操作における温度管理や揚げ種などの諸条件によって影響を受け一定の基準を見出すことは困難である.そこで,揚げ種と吸油量等間に一定の傾向があるかどうかを検討するために,2種類の食用油を使用して素揚げ,天ぷらおよびフライ調理を行い,揚げ油の化学的性状の変化と揚げた食品への吸油量を測定し,これらの項目間の関連性をしらべた.
【方法】日常よく揚げものに使用されている食品16種類を選び,市販食用油2種類を使用して素揚げ,天ぷら,フライの揚げ操作を180℃で6回行った.揚げた食品については吸油率,脱水率,衣付着率,水分量を測定した.揚げ油についてはΔE値,アニシジン価(ANV),カルボニル価(COV),酸価(AV)を測定した.また,これらの項目間の関連性をしらべるために相関係数を求めた.
【結果】食用油の違いによる揚げものの吸油率,脱水率,衣付着率、水分量にはほとんど差がみられなかった.素揚げでは食品の種類により吸油率が異なった.天ぷらとフライでは水分量は同程度であったが,天ぷらの方が低い傾向がみられた.ΔE値は食用油間に差が認められた.揚げ油のANVおよびCOVは揚げ回数とともに高くなり、また、揚げ種により異なったが,揚げ回数3回と6回の平均値を用いて揚げもの全体の揚げ油の平均値を算出して得た値を比較すると,ΔE値が高値を示した食用油の方がANV,COVともに高い値を示す傾向がみられた.AVは全体に低値を示した.吸油率と脱水率間,揚げ回数とANVおよびCOV間,ANVとCOV間には関連性がみられた.

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© 2006日本調理科学会
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