日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a1
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口頭発表
CLSMによるうどんの形態観察と粘弾性特性との関係
*長野 隆男
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抄録

〔目的〕共焦点レーザー走査顕微鏡(以下,CLSM)には,厚みがある試料でもボケることなく観察できる特徴がある。そこで,CLSMを用いて,うどんの構造とデンプン粒の形状変化について観察をおこない,官能検査と力学物性測定結果との関係を検討した。
〔方法〕小麦粉は,ホクシン,ASW,農林61号のもの3種類を使用して,うどん試料を作製した。官能検査は農林水産省食品総合研究所による小麦のめん適正評価法に基づいておこなった。力学物性測定は,5kgロードセルと測定ジグCooked Pasta Quality/Firmness Rig(A/LKB-F)を装着したTA-XT2iを用い,AACC Method 16-50に基づいておこなった。うどんとデンプン粒の観察はローダミンBで蛍光染色し,蛍光レーザー走査共焦点顕微鏡システム(デジタルエクリプスC1,ニコン)を使用して, 543nm(HeNeレーザー)励起で蛍光画像を取得した。
〔結果〕CLSMを使用してうどん表面の観察をおこなったところ,うどん表面の網目構造が細かく万遍なく広がった構造をしているほど,官能検査で食感の評価が高くなること,力学物性測定で破断歪が高くなることが対応すると考えられた。次に,デンプン粒の加熱による変化をCLSMで観察したところ,デンプン粒の膨潤開始温度とデンプン粒の平均粒径変化の2つについて知見が得られた。さらに,デンプン粒の平均粒径が最大となるときの大きさを測定することで,デンプン粒が大きくなる程度を数値化できた。以上のことから,CLSMは,うどんの構造とデンプン粒の形状変化の観察に用いることでき,うどんの粘弾性特性の解明に有用な手法であると考えられた。

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