抄録
【目的】
前報1)では、北海道居住者を対象に米の嗜好や食頻度、米に対する意識等を調査し、年代間にみられる共通性や差異について明らかにした。本研究は、従来、行事食・伝統食として用いられてきた「炊き込みご飯、混ぜご飯、ちらし寿司」の調理手法の変化や米料理の最近の摂取動向等を把握し、家庭における米料理の実態と特徴について検討した。
【方法】
前報1)で行った調査を基に、米料理の調理手法や摂取動向等について、年代別に比較検討した。データは、単純集計およびクロス集計を行い、χ2検定により分析した。
【結果】
炊き込みご飯、混ぜご飯、ちらし寿司の家庭における調理状況は、全体では「作る」が各々82.8%、64.5%、68.0%であり、年代別に比較すると、炊き込みご飯、ちらし寿司は年代が高くなるほど家で作る割合が増加しているのに対して、混ぜご飯は年代が低くなるほど増加し、年代間に有意差がみられた(p<0.01)。具の作り方は、50代以上の場合、いずれも「主に手作り」が90%以上を占め、「主に市販品を利用」は10・20代に多くみられた(p<0.01)。よく用いる具材の種類数についても、概ね、年代が高いほど多い傾向がみられ、これら3品については10・20代の調理法に簡便化の実態が認められた。さらに、5年前に比べて「食べなくなった米料理」は10・20代がちらし寿司、赤飯に対して、30代以上は炒飯が多く、「最近良く食べるようになった米料理」は10・20代では炒飯、40代以上は雑炊とすしが上位にあげられる等、年代による違いがみられた。得意な米料理はいか飯や貝類を用いた炊き込みご飯が多かった。「作り方を教わった人」では母親(38.0%)が多くあげられ、地域の産物を活用した米料理が伝承されている実態と特徴を把握できた。
1)日本調理科学会平成19年度大会研究発表要旨集、p.82(2007)