抄録
【目的】
雑穀は、ミネラル、たんぱく質、食物繊維が豊富に含まれていることから、近年の健康志向により見直され、その生産量が増加している.本研究は雑穀を主食としておいしく食べて消費の拡大を図ることを目的とし、雑穀のみで炊飯しその調理特性について検討した.
【方法】
試料としてアワ(モチ系)、イナキビ(モチ系)、タカキビ(モチ系)、ヒエ(ウルチ系)を用いた.また比較対照としてコメ(ひとめぼれ、ウルチ系)を用いた.いずれの試料も平成19年度岩手県産で無洗で炊飯可能なものである.加水量はアワ、イナキビは1.3倍(w/w)、ヒエ、タカキビ、コメは1.5倍(w/w)とした.浸漬時間はアワ、イナキビ、ヒエ、コメは20℃で1時間とし、タカキビは17時間とした.炊飯はジャー炊飯器(東芝、RC-6NX)を用いて、雑穀は雑穀米コース、コメは無洗米コースで炊飯した.炊きあがった試料をステンレス容器に入れ、20℃で1時間保持した後テクスチャー測定(フドーレオメーター:(株)レオテック製)を行った.
【結果】
雑穀飯の硬さは、コメに比べてモチ系のタカキビの値が最も高く、ついでアワ、イナキビの順になった.一方ウルチ系のヒエは低い値を示した.脆さについても硬さと同様の傾向が認められた.凝集性および弾力性は、コメに比べてイナキビの値が高く、タカキビは低い値を示した.付着力については、コメに比べてアワは高い値を示し、ついでタカキビの値が高くなった.一方モチ系であるイナキビは低い値を示した.ウルチ系のヒエは付着力が見られなかった.アワは粘りのある飯となり、イナキビは凝集性と弾力性の高い飯になることが明らかになった.一方同じモチ系でもタカキビは硬く弾力性の低い飯となり、ウルチ系のヒエは粘り気の無いぼそぼそした飯になることが示された.