日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-8
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口頭発表
鰹だし添加による酸味・酸臭抑制効果と緩衝作用の影響
山田 潤*徳永 智子梨本 亜希稲森 美奈子松田 秀喜
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抄録


【目的】
 だしには緩衝作用があり、その緩衝能を測定することで味を評価できると報告されている1)2)。しかし、それらの報告は全体的な呈味性を評価するものであり、個々の味への影響について述べたものではない。そこで、本研究では、酸味・酸臭に注目し、鰹だしのこれらに対する抑制効果ならびに緩衝作用の影響について検証することを目的とした。
【方法】
 鰹だしは、荒節を粗砕し、5%濃度で100℃ 30分間抽出して調製した。酸味の検証では乳酸を、酸臭の検証では酢酸を用いた。サンプルは各酸に鰹だしを添加し、調整した。酸味・酸臭ともに官能評価は順位法を用いて点数化し、その合計点についてKendallの一致性係数による検定を行った。さらに、酸味は(株)インテリジェントセンサーテクノロジー製の味覚センサーを、酸臭はGC-MSを用いて評価した。また、解離定数pKaは東亜ディーケーケー(株)製の自動滴定装置を用いて測定し、算出した。
【結果】
 酸味は官能評価の結果から、鰹だしの添加濃度に比例して抑制されることが確認でき、味覚センサーの結果もこれを支持した。また、pKa値と酸味抑制の評価結果の間には、相関性があることが確認された。酸臭は官能評価の結果から、酸味と同様、鰹だしの添加により抑制されることが確認でき、GC-MSの結果もこれを支持した。実際の調理品でも検証を行い、鰹だしの添加による酸味・酸臭の抑制効果を確認した。以上のことから、鰹だしには酸味・酸臭の抑制効果があり、これは緩衝作用の影響によることが推測された。
1)月刊フードケミカル 9,29-34(1993)
2)日本味と匂学会誌 Vol.1 No.3 146-149(1994)

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