日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a2
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口頭発表
豚肉加工品の物性及び嗜好性に及ぼす高圧処理の影響-その2
*金 娟廷西海 理之大越 ひろ鈴木 敦士
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抄録

【目的】食肉は良質なたんぱく質の供給源でありながら線維が多く、硬くて咀嚼しにくいため、特に高齢者にとって食べにくい食材である。そこで、我々は咀嚼能力が低下した高齢者にとって食べ易い食肉加工品の開発のため、豚ロース肉を用いて、物性及び飲み込み易さなどの研究を続けている。本研究では、重曹処理した豚ロース肉を、調味液(醤油、みりん、お酒、砂糖、生姜)に浸漬して、高圧処理を行い、物性および咀嚼し易さについて検討した。
【方法】豚肉ロース芯部位を用い、前処理として、0.4 Mの重曹溶液あるいは脱イオン水に20℃で40分間、浸漬を行った。浸漬した重曹処理肉及び未処理肉を調味液に浸漬し、400 MPaで10分間、高圧処理を行った。ただし、高圧処理を行わなかったものを、0.1 MPaとした。加圧後、80℃で、30分間、加熱した。測定項目として重量減少率、テクスチャー特性の硬さ、咀嚼試験および官能評価を行った。
【結果]】重曹処理後、調味液を浸漬して、さらに高圧処理を行った試料肉は、重量減少率およびテクスチャー特性の硬さはいずれも低下した。また、咀嚼試験を行った結果、いずれの試料肉も嚥下開始までの咀嚼回数は個人差が大きかったが、重曹処理後、調味液を浸漬し、高圧処理を行った試料肉は、他の試料肉に比べ、個人差が少なく、咀嚼回数が少なかった。さらに、官能評価でも有意に良い結果が得られた。
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© 2009日本調理科学会
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