日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a1
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口頭発表
SPF豚肉の食味特性に及ぼす加熱時間の影響
*三森 一司鎌田 慶子
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キーワード: SPF豚肉, 物性, 官能検査
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抄録


【目的】食の安全志向から国産豚肉特に指定病原体をもっていないSPF豚肉が再度注目されている。本研究では、秋田県内で桃豚という名称で流通しているSPF豚肉の用途拡大を図る目的で、加熱に伴う食味の変化を一般豚肉と比較し、若干の知見を得たので報告する。
【方法】実験試料のSPF豚肉(桃豚)と一般豚肉は、秋田県内で飼育された物を購入して用いた。使用部位は肩ロースである。一般成分は常法に従って分析し、硬さは(株)山電のレオメーターで測定した。肉色はMINOLTAの色彩色差計を用いて測定した。官能検査は本学学生20名をパネルとし、順位法、SD法で行った。
【結果】豚肉を0~50秒間、10秒間隔で加熱して食味に及ぼす影響を調べたところ、SPF豚肉の保水率は一般の豚肉よりも高く、その値は加熱時間を通して97%台と殆ど変化しなかった。これに対し一般の豚肉の保水率は加熱10秒後に低下し、その後上昇したがSPF豚肉の保水率を上回ることは無かった。一般豚肉は加熱に伴い硬くなり、50秒加熱の値は3640g/cm2となったが、SPF豚肉は加熱してもあまり硬くならず、最大でも加熱50秒後の1565/cm2と一般豚肉の半分以下の硬さであった。収縮率は一般豚肉で17.1%~21.9%と大きく変化しなかったのに比べ、SPF豚肉では加熱20秒から30秒にかけて急激に収縮率が上昇し、50秒加熱では28.8%であった。加熱に伴う色調の変化では、一般豚肉とSPF豚肉ともに10秒後にa値が低下し、その後変化しなかった。L値は、SPF豚肉で40秒から50秒にかけて幾分上昇する傾向が認められた。官能検査では、噛みやすさ、やわらかさ、歯切れよさにおいてSPF豚肉が一般豚肉より高い評価が得られた。

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© 2009日本調理科学会
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