日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a6
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口頭発表
過熱水蒸気乾燥おからの添加がクッキーの食味と物性に及ぼす影響
*藤 恵子大槻 尚子高橋 ひとみ
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キーワード: おから, クッキー, 官能検査
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抄録


【目的】過熱水蒸気乾燥おからは、保存性に優れ独特の香ばしさを有する粉末おからであり、今後の用途開発が期待されている。本研究では、過熱水蒸気乾燥おから(以下、粉末おからとする)を菓子類に添加したときの特性を調べることを目的とし、クッキーへの添加が食味と物性に及ぼす影響を検討した。
【方法】クッキーの調製用材料として、粉末おからには過熱水蒸気乾燥法により製造されたOh!からだ微粒(大川原化工機(株))を用いた。試料は、粉末おから無添加のものをコントロールとし、小麦粉の一部あるいは全量を粉末おからに置換した3種(粉末おから:小麦粉=1:2、2:1、3:0)を作製した。生地を5mm厚に伸延して直径37mmの型で抜き、180℃のオーブンで8分間焼成した後デシケーター中で1日間保存して実験に供した。測定項目は、クッキーの重量、直径、厚さ、体積(菜種法)、吸水率、色調(色彩色差計)、物性(テクスチャーアナライザー)とした。また、クッキー断面の実体顕微鏡像より空隙の数、面積を求めた。官能評価は20~35歳の女子学生および教員26名で行い、5段階評点法および順位法で調べた。
【結果】粉末おからを添加したクッキーは、コントロールと比較し以下の特性が認められた。1. 重量、直径、体積は低値を示し、表面色の白度は低く茶色味が強かった。2. 断面の組織構造は、粉末おから添加割合の増大につれて微細な空隙を多数呈し、その総面積は小さくなる傾向がみられた。3. 物性は、破断強度が低下してやわらかく、もろくなった。4. 官能評価では、外観、硬さ、もろさの項目で有意差が認められた。また嗜好評価では、粉末おから添加クッキー2種(粉末おから:小麦粉=1:2、2:1)で評価が高く、粉末おからをクッキーへ添加することの有効性が示唆された。

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© 2009日本調理科学会
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