抄録
【目的】椎茸やキノコには呈味成分が多く含まれ、ダシがでる調理用食材として広く用いられている。乾燥椎茸や乾燥キノコの製造法は、昔は自然天日乾燥法で行われていたが、天候に左右されやすく、乾燥時間が長いうえ、不衛生であるなどの理由から、ほとんどボイラーによる温風乾燥法に変わっている。しかし、天日干しより味が落ちるといった問題がある。そこで、本研究では、呈味成分が増加する椎茸乾燥法の開発を目的に、乾燥法に違いによる椎茸とキノコの呈味成分の変化を測定した。
【方法】乾燥機は恒温恒湿の室内に設置してあり、温風発生器からの温風は木製の風洞に導かれ、一様な流れで測定部を通過後、恒温室外に排気される。実験はUV-Aあるいは可視光線(赤、緑、青)の光を照射しながら、椎茸とキノコの品温を約30℃に保ちながら乾燥させた。比較のため、UV-Aの光を照射しない温風乾燥の場合も測定した。実験材料としては、岩手県洋野町で原木栽培されたドンコ椎茸およびコウシン椎茸、岩手県久慈市で栽培された菌床椎茸および各種キノコを用いた。
【結果】収穫されたばかりの椎茸(品種ドンコ)をその日のうちにUV-A、可視光(赤、緑、青)を照射しながら乾燥し、含まれる16種類の遊離アミノ酸総量を温風乾燥法の場合と比較したところ、波長の長い赤、緑の照射乾燥の場合、アミノ酸量は温風乾燥の場合と余り変わらないが、波長の短い青色波長照射で1.94倍、UV-A照射乾燥では2.1倍増加した。また光照射により表面の見栄えが変化することも考えられ、色彩色度計で椎茸表面の明度L、赤みa及び黄みbを測定すると、UV-A照射乾燥の場合、赤みaは温風乾燥と変わらないが、黄みbが増加し、明度Lも増加し、結果的に白っぽい椎茸が得られた。肉眼で区別できるかの指標である色差?Eも6.8で、誰でもが識別できる値1.5を大きく上回っていた。