日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a6
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口頭発表
婦人之友にみる食文化の考察
昭和初期から戦前期について
*石原 由紀子舘野 美鈴大久保 洋子
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キーワード: 献立, 婦人之友, 戦前
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抄録


【目的】『婦人の友』は明治36年から現在まで発行を続けている息の長い婦人雑誌である。本雑誌は取上げられた食の分野記事は時代の動きを受けてさまざまな形で編集されている。その記事を調査・検討することで、日本の家庭における食の変遷を雑誌という一面からの分析をとおして、現在のさまざまな食の問題を解決する思考のヒントを見出そうとすることを目的にした。
【方法】本報告は『婦人の友』昭和初期から第二次大戦前を用い、その間の食分野記事を項目として、料理記事タイトル、献立、食材料、調理法、特記される記事などを整理し、調査・分析をおこなう。
【結果】1)料理記事タイトルは行事・接待・惣菜・食品の知識・料理法・食具の管理・経済料理・栄養価など多岐に渡っている。2)行事食は主として正月とクリスマスの記事が多く、他行事はわずかである。3)子ども向けの記事も多く、おやつ・弁当などや子どもと作る料理なども掲載されている。また、接待料理比較して惣菜料理の紹介が多く、日常食を重視している傾向が見られる。4)昭和8年の1ヶ月の献立シリーズが好評だったのか、その後毎月の献立をシリーズ化している。また、読者からの募集料理も掲載されている。5)昭和13年には新一汁一菜献立が毎月示され、「家庭の基礎勉強」として料理の基礎を連載、若い年齢層の主婦を対象に啓蒙している。 6)外国の料理紹介として、フランス料理が主であるが、ほかに、支那、朝鮮、イギリス、ロシア、インド、ドイツ、デンマーク、アメリカ、フィンランドである。明治から昭和にかけて和と洋の食が日本の家庭に取り込まれたことがわかった。

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