日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p3
会議情報

口頭発表
凍みもちの実験的製造方法の検討
*永嶋 久美子小川 睦美島田 淳子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録


【目的】凍みもちは、東北地方、北海道を中心として全国各地で製造され、利用されてきた伝統食品である。餅より歯切れがよいこと、つなぎに繊維質が添加されること等から、高齢者の栄養に寄与する可能性が考えられる。従来自然の寒気を利用して冬期のみに作られ、経験や勘に頼る製造方法が伝承されてきたが、本研究では凍みもち製造の伝統技術を科学的に検証し、簡便に、かつ均質な凍みもちを製造する条件を確立することを目的とし検討を行った。
【方法】20年度本大会において報告を行った福島県鮫川村での現地調査に基づき、凍みもちを製造した。1)うるち米粉(2007年福島県産こしひかり)、もち米(2007年福島県産こがねもち)を材料とし、うるち米粉はうるち米粉重量の80%の熱湯を加え、こねてうるち米粉生地とし、もち米は吸水させ、これらを餅つき機(RM-36MN)に移し、蒸し、搗き、もち生地とした。生地を成型後切断し、ポリエチレン製の紐でくくり冷水に浸した。2)乾燥にはインキュベーター(MIR-153)を使用し、3℃で8時間、-5℃で18時間を4週間繰り返した。3)もちの温度、重量、容積を測定した。また、乾燥終了後、吸水率の測定を行った。
【結果および考察】凍みもちの重量は、乾燥開始から7日目までに開始時の約4分の3にまで減少し、14日目には3分の2となり、この時点でほぼ一定となった。容積は凍結2日目までやや増加し、その後減少、乾燥終了時には開始時の4分の3の大きさになった。乾燥初期の増加は凍結によるものと考えられた。吸水は開始から30分間でほぼ完了した。今後、今回作成した凍みもちの物性測定を実施し、従来製法の凍みもちとの比較、もち米100%の餅との比較から、凍みもちの特性と品質の検証を実施する予定である。

著者関連情報
© 2009日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top