日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p4
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口頭発表
サツマイモ飯とサツマイモ粥の年代別摂取状況調査
*露久保 美夏石井 克枝
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抄録


【目的】サツマイモは昔から主食代替として単品あるいは米に混炊してサツマイモ飯(以下、イモ飯)やサツマイモ粥(以下、イモ粥)として食されてきた。サツマイモおよび米は、各々食文化的研究がなされているものの、イモ飯やイモ粥といった調理についての報告はされていない。そこで、イモ飯とイモ粥を食文化的視点から捉え、大正、昭和、平成におけるそれぞれの摂取状況を調査してまとめ、その傾向を考察することを目的とした。
【方法】全国主食物調査(大正七年内務省衛生局保健衛生調査室作成)より大正7年頃、CD-ROM版日本の食生活全集(社団法人農山漁村文化協会作成)より昭和初期頃、調理文化の地域性と調理科学データベース2002(日本調理科学会作成)より平成12年頃のイモ飯とイモ粥の摂取状況を調査し、白地図KenMap Ver8.1(白地図作成ソフト)により整理した。
【結果】イモ飯は大正7年頃は関東以西で摂取され、時代を経るにつれて全国的に摂取されるようになった。イモ粥は、大正から平成に至るまで西日本、特に近畿、中国地方での摂取に偏っていた。これよりイモ飯とイモ粥は同じ食材を用いた調理であるが、摂取状況は一致してはいないことが明らかとなった。このような摂取状況が見られた理由として、各地域におけるサツマイモの普及と粥食の歴史が影響していることが挙げられる。イモ飯に関しては、サツマイモが時代とともに南から北へと日常の食生活に浸透していったことに伴いその調理も広まったものと思われる。対して、粥そのものが近畿や中国地方で日常的である一方、東日本においては病気の時の食事という印象が強いことが影響し、イモ粥は東日本にあまり浸透しなかったということが考えられた。

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