日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-a6
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口頭発表
篩分けソバ粉バッターおよびソバがきのレオロジー特性
*粟津原 理恵石川 裕美長尾 慶子
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抄録


【目的】ソバ種子を段階的に挽きながら篩分けすることで、一番(内層)粉、二番(中層)粉、三番(外層)粉と呼ばれる粉が得られる。成分組成も異なり、外層に近い粉ほどタンパク質や無機質が多くでんぷんが少ないため、各ソバ粉の調理性が異なることが予測される。本研究では、調理目的に応じた篩分けソバ粉の利用および配合を可能とするために、各篩分けソバ粉でソバがき試料を調製し、そのレオロジー特性および外観を検討した。
【方法】試料は、日穀製粉(株)製のソバ粉(一番粉、二番粉、三番粉)と水を1:2の割合で混合した未加熱試料と撹拌加熱(50℃)試料についてCasson降伏値および粘度を測定した。併せて各ソバ粉:水を1:3.5で混合し撹拌加熱(80℃)したソバがき試料を25℃に冷却後テクスチャー測定を行った。でんぷんの糊化状態を知るために、示差走査熱(DSC)分析により、各20wt%ソバ粉懸濁液の吸熱ピーク温度を比較し物性への影響を検討した。外観評価には、明度(L*)、色度(a*,b*)および色差(ΔE)を測定した。
【結果】Casson降伏値および粘度は未加熱および50℃の加熱試料ともに三番粉試料>二番粉試料>一番粉試料の順に低値となった。しかし、80℃で加熱した三番粉試料はかたさおよび付着性が低く、凝集性の高いソバがきとなった。一番粉試料と二番粉試料は類似したテクスチャー特性を示し、凝集性が低く、かたさおよび付着性が高値となった。DSC分析による一番粉、二番粉の糊化ピーク温度(約66℃)からも三番粉よりも糊化しやすいことが示唆されたことから、テクスチャーの相違にでんぷんの影響が考えられた。また、一番粉に比べて、外層に近い粉ほどa*,b*値が上昇し赤褐色に変化したことから、各篩分けソバ粉は物性および色の相違が大であり、配合により広く調理に応用できると考えられた。

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© 2009日本調理科学会
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