抄録
【目的】食品成分は加熱により変化する。加熱による成分の変化は従来、栄養成分の分析、物性分析さらに香成分分析等によって報告されている。本研究では、加熱した食品の成分の分析に電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance, ESR)を用いて量子レベルでの評価が可能であるか検討した。
【方法】ESR計測に用いた試料は胡椒である。胡椒は蒸気殺菌した市販のものと実験的にガンマ線殺菌したものを用いた。加熱処理は180度で15分間予熱したオーブンで1分間間隔にて加熱して行った。ESR装置はJES-FA100 X-band(日本電子製)を用いた。
【結果】胡椒のESR信号は3種類観測された。マンガンイオン、鉄イオン、フリーラジカルであると解析された。加熱により遷移金属イオンは顕著な変化を示さなかった。フリーラジカル由来の信号強度は加熱処理によって減衰することが示された。この減衰挙動を詳細に検討し減衰の時定数を得た。以上のことからESRを用い量子レベルでの加熱した食品の成分の評価が可能であると結論した。