抄録
【目的】わが国では、かつお節や昆布などの天然だし素材を古くから用い、日本料理におけるだし汁の存在は大変重要であると考えられる。本研究では、天然だしおよび市販のうま味調味料を用い、だし汁摂取による身体の生理的反応および気分の変化について解析した。さらに、だしに関するアンケート調査および官能検査を行い、だしの嗜好性についても調べた。
【方法】1. 大学生6人を実験協力者とした。かつお・昆布・シイタケおよびうま味調味料からだしを調整し、だし汁200mlを摂取させた。摂取直前、直後の血管幅と体温を測定し、その後15分毎に120分まで測定を続けた。また、気分を測定するアンケート調査(POMS)を摂取前と摂取120後に実地した。その後、日を変えて、6人が全てのだし汁を摂取し測定をおこなった。2. 大学生および教職員28名(20代11人、30~40代9人、50~60代8人)に対し、各だしで煮た大豆の官能検査およびだし汁に関するアンケート調査を行った。
【結果・考察】1. かつおだし摂取において血管幅は徐々に拡張し、摂取後60分で他のだしと比較し有意に拡張した。体温に関してはうまみ調味料摂取で低く推移する傾向が見られた。だし汁摂取前後のPOMSを比較したところ、かつおだし摂取では活気が上がり、昆布だし摂取においても緊張や怒りの低下する傾向が見られた。これらの結果より、だし汁摂取が身体の生理的反応や気分に影響することが示唆された。 2. 年代別の嗜好性について調べてみると、50~60代では昆布だし、30~40代ではかつおだし、20歳代ではうま味調味料で煮たダイスが総合的に好ましいという結果となった。これらの結果から、だしの嗜好性は幼少期からの食生活が大きく影響していると考えられた。