抄録
本研究では、栄養士養成課程に所属する短期大学生を対象として、食行動に影響を与えていると考えられる家庭での食生活習慣の特徴を検討することを目的とした。また、課程における食に対する学習の前後で、食行動に影響を与える食生活習慣の特徴が変化するかどうかを検討し、学習による影響の有無を考察した。因子分析によって抽出された食行動の各因子を目的変数、同じく因子分析によって抽出された家庭での食生活習慣の各因子を予測変数とした重回帰分析の結果を短大入学前と現在とで比較したところ、入学前の食行動は家庭における食生活習慣との関連は認められなかったが、現在の食行動因子の “カロリー制限”因子と食生活習慣因子の“季節感・旬の食材重視”因子との間に、そして食行動因子の“バランス配慮”因子と食生活習慣因子の“食に対する努力推奨”因子など複数の因子との間に有意な関連が認められた。これは、入学前に比べて、現在の方が自分自身の食行動と家庭における食生活習慣とを結びつけて考えることができるようになっていることを示すと考察され、課程のカリキュラムの学習が、入学前後の相違の一端を担っていることがうかがえた。