抄録
【目的】国産の小麦粉は一般に中力粉の特性であり、タンパク質含量が少なくグルテンが少ないため製パンには向かず麺類に適していることが知られている。しかし最近は製パンの技術により国産小麦を使用した食パンの商品がみられる。そこで本調査は国産小麦食パンと外国産小麦食パンの商品を用いて嗜好性を調べた。さらに国産および外国産小麦食パンに対する購買意識の調査を行った。
【方法】官能検査は20歳前後の女子大生(198名)を対象に「国産小麦食パン」と「外国産小麦食パン」の2点嗜好試験法により行った。さらに両食パンの内相および外相の「色」、「味」、「硬さ」、「総合評価」について、3段階法の評点表により官能検査を実地した。また食パン一斤の価格を「国産小麦パンは200円」、「外国産小麦パンは150円」とし、どちらを購入するかアンケート形式で回答を求めた。
【結果】評点法による官能検査の結果、国産小麦食パンは内相の「味」、外相の「色」「味」「総合評価」の項目において外国産小麦食パンより嗜好性が高かった。また両食パンにおける2点嗜好試験法による結果では、57%が「国産小麦パン」、43%が「外国産小麦パン」であり、国産小麦パンの方が好まれている結果となった。さらに国産および外国産小麦食パンに対する購買意識の調査では「外国産小麦パンを購入する」と答えた者が55%と多く、「国産小麦パンを購入する」と答えた者は35%であった。国産小麦食パンは外国産小麦食パンに比べ嗜好性が高かったが、購買意識に関しては価格の安い外国産小麦パンを選択する傾向にあることが推察された。消費者の外国産小麦に対する危惧意識は米、野菜、肉など他の食品に比べ低い傾向であることが考えられた。