日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-27
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ポスタ-セッション
浅漬けのビタミンC含量に及ぼす有機酸の影響
*三宅 紀子酒井 清子鈴木 恵美子倉田 忠男
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抄録


【目的】 生活習慣病の予防にビタミン、食物繊維などを豊富に含む野菜摂取の重要性は高まっている。浅漬けは日本型食生活によく合う野菜の調理・加工法であるが、これまで葉菜類浅漬けのビタミンC(VC)に関する研究は十分に行われていない。私たちはキャベツを用いた浅漬けモデル系における浅漬けのVC含量に対する漬け液中の調味料の影響について調べ、食酢によりキャベツ浅漬けのVC含量が低下する現象を本学会で報告した。そこで本研究では、浅漬けVC含量に及ぼす有機酸の影響についてさらに詳細に調べることを目的とした。
【方法および結果】 市販キャベツを八等分に切り、5.5%食塩水(対照区)あるいは酸を添加した漬け液(試験区、食塩濃度;5.5%)を加え、4℃で約18時間漬けた。浅漬けキャベツと漬け液中のVC及び食塩含量を測定した。12%食酢を添加した漬け液を用いた場合、浅漬けキャベツ中のVC量は対照と比べ約80%と有意に減少し、逆に食塩含量は約1.5倍高くなった。一方、漬け液中では食酢を添加した場合のみにVCが検出され、食塩濃度も対照と比較して有意に低かった。また食酢の主成分である酢酸添加の場合にも同様の結果が認められ、この現象が酢酸によるものであることが確認された。食酢の濃度による影響を調べた結果、漬け液中の食酢の濃度が高くなるほどキャベツ中のVC量は減少する傾向が見られた。さらに、他の有機酸 (乳酸、クエン酸、コハク酸)についても検討したところ、酢酸と同様の結果が認められた。このことから、漬け液中に添加された有機酸は、植物組織の構造変化をもたらし、VCの溶出及び食塩の浸透を促進させることが示唆された。

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© 2009日本調理科学会
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