抄録
【目的】 クロテッドクリーム(clotted cream)は、乳類の保存・加工品としてヨーロッパの食文化では古い歴史を持ち、アフタヌーンティーの際、スコーンを食べる時に用いられているクリームである。クロテッドクリームは冷凍するとバターのように固まってしまうが、室温では口あたりや口溶けがよいことが知られている。一方、ホイップクリームは冷凍ならびに糖類添加による影響を検討したところ、ソルビトールを添加することは気泡安定性に効果を持つことを明らかにした。そこで、本研究では、クロテッドクリームの品質に及ぼす冷凍ならびに糖類添加の影響を明らかにすることを目的として検討したので報告する。
【方法】 試料は北海道産クロテッドクリーム(乳脂肪分62.7%)を用い、sucroseとsorbitolを10%添加して冷凍後、解凍し、顕微鏡観察、色調、動的粘弾性、DSC測定を行った。
【結果】 クロテッドクリームの顕微鏡観察による微細構造は、脂肪球が分散していた。クロテッドクリームの冷凍時間は無糖が短く、sorbitol、sucroseの順に長くなった(p<0.05)。一方、解凍時間は糖類添加に比べて無糖が長くなった(p<0.01)。色調ではクロテッドクリームは解凍後、いずれも冷凍前に比べて明るさを示すL*値の減少と彩度の増加がみられていた。動的粘弾性では弾性要素を示す貯蔵弾性率G’値と粘性要素を示す損失弾性率G”値は温度依存性がみられた。最大貯蔵弾性率は5℃付近に存在し、解凍後の減少率が低かったのはsorbitol、sucrose、無糖の順であった。DSC曲線では、第1ピークは20℃付近にみられ、動的粘弾性結果とも一致していた。糖類添加することはクロテッドクリームの冷凍保存における品質を保つことから、その特性を活かした利用方法を検討したい。