日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-37
会議情報

ポスタ-セッション
江戸期の調味料「いり酒」に対する嗜好性とその要因
女子大学生による官能評価より
*岸田 恵津富永 しのぶ
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】いり酒は,江戸時代中期まで主に刺身や鱠などに使用されていた調味料であったが,現代では,一般には利用されていない。これ迄の本大会で,江戸期の料理本の記載に基づき,いり酒と早いり酒を再現し,再現試料の呈味関連成分を分析した結果や現代への利用可能性を検討するために女子大学生を対象にした官能評価の予備結果等について報告してきた。今回は,パネルの人数を増やして官能評価を実施し,いり酒の嗜好に関わる要因にも着目して分析した。
【方法】試料には,『料理物語』に基づき,酒,鰹節,梅干を合わせて酒重量の半分まで煮詰めて調製した「いり酒」と,『合類日用料理抄』に基づき酒,醤油,酢を合わせて加熱と冷却を3回繰り返して調製した「早いり酒」,対照として濃口醤油を用いた。試料単独及び試料を食材料に使用した場合について評価を行った。食材料として,タイ及びマグロの刺身,きゅうり,大根,ほうれん草(ゆで)を用いた。女子大学生60名をパネルとし,香り,味,好み,総合評価等の項目に対して評点法による官能評価を行った。
【結果】1.刺身に使用した場合の好みは,醤油に対する評点が高く,タイでは,いり酒<早いり酒≒醤油,マグロでは,いり酒<早いり酒<醤油であり,いり酒に対する評価が低かった。2.野菜につけた場合の好みの評点は,大根では3者間に有意差がなかったが,きゅうりとほうれん草では,醤油≒いり酒<早いり酒と,早いり酒の評価が高かった。3.うま味を識別できた群とできなかった群で,タイにいり酒を使用した時の好ましさを比較すると,うま味を識別できた群の方が,いり酒に対する好ましさが高い傾向にあった。
著者関連情報
© 2009日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top