抄録
【目的】 家庭で煮物を調理する頻度は比較的高く、当社の調査結果によると、煮物をよく調理する主婦の9割以上が、調理中に浮いてくる油を気にしていることがわかった。そこで、不織布シートを煮物調理に使用した場合の、不織布シートが油やアクを除去する効果について検討を行った。
【方法】 (1)脂質:煮物調理(肉じゃが及びカレー)の際に不織布シート(ポリプロピレン製)を煮汁上面に載せ、所定時間加熱した後、取り出したシートを乾燥し、常法に従って脂質を抽出・溶媒留去し、脂質重量を計測して食材からの脱油量を求めた。また、シートの吸収成分からガスクロマトグラフ法にてコレステロール量を測定した。(2)アク:上記と同様の調理操作を行なった後、アクのシートへの付着状況を目視にて評価した。
【結果】 煮物調理における不織布シートの吸油量は、シートを構成する繊維の平均繊維間距離を広げるに従い増加することがわかった。また、不織布シートの円周部に切り込みを付与すると、煮汁との接触効率が向上して油やアクの吸収量が増加した。直径20cmの不織布シートを用いて肉じゃが(4人分)を調理した場合は、約220kcalの油をシートが吸収することを確認した。また、シートの吸収した脂質成分を分析したところ、食材として使用した肉由来と推察される飽和脂肪酸やコレステロールが検出され、不織布シートを用いた煮物調理は、脂質のみならずコレステロールの摂取を低減する観点で有用であることを見出した。